ウソ★スキ

どうして忘れちゃったの?

どうして気付いてくれないの?

どうして、あたしがいなくても、ソラは幸せそうなの……!?


口から出てくるのはそんな「どうして?」ばかり。

ソラはそんなあたしを、ただ困った顔で見ているだけで。


「あたしだよ? ねえソラ、思い出してよ!」 


泣いてソラにすがるあたしを止めたのは、奥さんの平手打ちだった。


「いい加減にしなさい!」

パン!という派手な音がした割に、それほど痛みは感じなかった。

だけど不意のことで身構える暇のなかったあたしは、大きくよろけてしまって。


そんなあたしを受け止めて支えてくれたのは、ソラだった。


ソラの両手が、あたしの肩に触れる。

それは、5年ぶりに感じるソラの温もりだった。

こんな最悪な時に……。
そう思うと悔しくて、更に泣けてくる。


「ソラだって十分苦しんだのよ。お願いだから、分かってあげて」

振り返ると、奥さんは泣いていた。

「私も主人も、美夕ちゃんが、今のありのままのソラを受け入れてくれるって……そう思ったから、ソラと会うことを歓迎したのよ? それなのに、これ以上そうやって過去にこだわり続けるんだったら、もうソラには会わないであげて!」