あたしの視点は定まらなかった。
隣からは、スケッチブックをぱらぱらとめくる音が聞こえて。
「いつだって、これがケンカの原因。……俺もほら、どこか冷めてるとこがあって。彼女に怒られて去られても、それを追いかけてまで仲直りしようっていう気にはなれなくて」
「だったらもう、こんな絵を描くのをやめたら!?」
気がついたら、あたしはカウンターテーブルを力一杯ドンって叩いていた。
……自分でも、自分を抑えていることができないくらいイラだっているのが分かる。
「こんなの描いたって、何もいいことないじゃん!」
「できるなら……ね。でも、どうしても、やめられないんだ。……いや、違うな。俺はこの絵を描くことをやめたくないんだろうな……」
「その子のことが、好きなの?」
「それも良く分からない。でもなんか、この涙って、俺が泣かせたっぽいよなーとは思うんだ。こんなに泣かせるほど、俺は彼女に一体何をしたんだろうって、気になって仕方なくて」
ゆっくりと視線をソラに向けると、ソラは愛しそうに、絵の中のあたしの涙をなぞっていた。
「ひどいことをしたんなら謝りたいけど、あっちはもう会いたくないかも知れないよなぁ」
その顔は「今のあたし」を見る表情とは全然違う。
「今のあたし」には決して見せてくれない、優しい瞳だ……
それが苦しくて。
あまりにも哀しくて。
──気付いて! それ、あたしだよ!!
思わずそう言いそうになった瞬間。
ソラが顔を上げて、あたしの方を向いた。
「……あれ?」
隣からは、スケッチブックをぱらぱらとめくる音が聞こえて。
「いつだって、これがケンカの原因。……俺もほら、どこか冷めてるとこがあって。彼女に怒られて去られても、それを追いかけてまで仲直りしようっていう気にはなれなくて」
「だったらもう、こんな絵を描くのをやめたら!?」
気がついたら、あたしはカウンターテーブルを力一杯ドンって叩いていた。
……自分でも、自分を抑えていることができないくらいイラだっているのが分かる。
「こんなの描いたって、何もいいことないじゃん!」
「できるなら……ね。でも、どうしても、やめられないんだ。……いや、違うな。俺はこの絵を描くことをやめたくないんだろうな……」
「その子のことが、好きなの?」
「それも良く分からない。でもなんか、この涙って、俺が泣かせたっぽいよなーとは思うんだ。こんなに泣かせるほど、俺は彼女に一体何をしたんだろうって、気になって仕方なくて」
ゆっくりと視線をソラに向けると、ソラは愛しそうに、絵の中のあたしの涙をなぞっていた。
「ひどいことをしたんなら謝りたいけど、あっちはもう会いたくないかも知れないよなぁ」
その顔は「今のあたし」を見る表情とは全然違う。
「今のあたし」には決して見せてくれない、優しい瞳だ……
それが苦しくて。
あまりにも哀しくて。
──気付いて! それ、あたしだよ!!
思わずそう言いそうになった瞬間。
ソラが顔を上げて、あたしの方を向いた。
「……あれ?」


