あたしは平常心を保とうと、精一杯普通の口調で言った。
「ソラが絵を描くのが好きだったなんて、知らなかったよ」
「最近なんだ、こんなに描くようになったのは」
震える手を隠しながら、ソラの後ろを回り、さっきまで座っていた席に戻る。
あたしはソラと視線を合わせないようにしながら、話を続けた。
「その絵の女の子、誰?」
「それが分からないんだよなぁ……」
「……彼女じゃないの?」
「違うよ」
ひとつひとつ会話を重ねるごとに、あたしの心臓の動きが速く、激しくなっていく。
「……ソラは今、彼女いないの?」
「いないよ。大学に入るまでは全然モテなくて彼女なんてできたことなかったし。大学に入ってようやく何人か彼女っぽい子が出来たんだけど、それでも、いつも長続きしないんだよなぁ……」
大学に入るまで、彼女がいなかったの……?
それから、彼女が出来たの……?
なんだかあたし……このまま気を失ってしまいそうだ。
「……どうして、彼女と、続かないの?」
「だって、どう考えても気持ち悪いだろ? 美夕だってイヤなはずだよ、名前も知らない女の子の絵を描き続ける男なんて」
「ソラが絵を描くのが好きだったなんて、知らなかったよ」
「最近なんだ、こんなに描くようになったのは」
震える手を隠しながら、ソラの後ろを回り、さっきまで座っていた席に戻る。
あたしはソラと視線を合わせないようにしながら、話を続けた。
「その絵の女の子、誰?」
「それが分からないんだよなぁ……」
「……彼女じゃないの?」
「違うよ」
ひとつひとつ会話を重ねるごとに、あたしの心臓の動きが速く、激しくなっていく。
「……ソラは今、彼女いないの?」
「いないよ。大学に入るまでは全然モテなくて彼女なんてできたことなかったし。大学に入ってようやく何人か彼女っぽい子が出来たんだけど、それでも、いつも長続きしないんだよなぁ……」
大学に入るまで、彼女がいなかったの……?
それから、彼女が出来たの……?
なんだかあたし……このまま気を失ってしまいそうだ。
「……どうして、彼女と、続かないの?」
「だって、どう考えても気持ち悪いだろ? 美夕だってイヤなはずだよ、名前も知らない女の子の絵を描き続ける男なんて」


