ウソ★スキ

だけど、そんなあたしの「twin star」通いは突然終わりを迎えることになる。



それはランチ目的のお客さんが一気にお店にやってきて、旦那さんや奥さんが息つく間もなく動き回る、お昼どきのことだった。


特にお客さんが集中して忙しい今日に限って、ソラはサークルで不在。

お店は完全に人手が足りない状態だった。



「美夕ちゃんごめん! 手伝ってもらってもいいかな?」

あまりの忙しさに、旦那さんがあたしに助けを求める。

「いいですよ」

あたしはそう言うとカウンター席を立った。



──大丈夫? 電車賃だって馬鹿にならないでしょ?

そんな心配をしてくれる奥さんは、あたしがお店に顔を出すたびにメニューにはない得意の手料理をご馳走してくれた。

そして帰りにお金を払おうと「いくらですか?」って聞くと、決まって首を横に振って。


「美夕ちゃんからお金を取るわけにはいかないわよ! こうしてソラに会いに来てくれるだけで嬉しいのに」

ソラに聞こえないように小声で囁きながら、「帰って食べてね」って小さなお弁当箱を持たせてくれた。


だからそのお礼……というわけではないけれど。

あたしは、忙しいときにはソラの代わりにお店を手伝うことにしていた。