ウソ★スキ

でも、そんな作り笑いを続けることに疲れてきたのも事実だった。

このまま一緒にいても、ソラがあたしのことを思い出してくれるっていう保証はない。

それなのに、あたしは一体いつまでここに通い続けなければいけないんだろう?


気がつくと、ソラが記憶を取り戻すきっかけになるんじゃないかと思って、昔の話ばかり重ねてしまうあたし。

そして、それに全く反応を示そうとしないソラ。


いつだって、その繰り返し……。


何の好転もないままお店を出なければいけないときの虚しさは、日を追う事に増していった。


だから……もう限界。

今日で最後にしよう。

ここ最近はいつも、お店のドアを開ける前に必ずそう自分に言い聞かせていた。


それなのに。

帰り間際、あたしが電車の時間を気にし始めると、ソラは決まって

「美夕、今度はいつ来れる?」

って聞いてくる。

それがただの社交辞令だと分かっていても、その言葉に、あたしは次の約束をせずにはいられなかった。



あたしが来るのを待ってくれるソラ。

そこにはまだ、一握の希望が残されている気がして。



いい加減、こんなことをやめて就職活動だってしなければいけないのに。




どうしても抜け出せない。

ソラの側から離れられない。



がんじがらめだ────