「今日、さっきまで描いていたのは……この絵だな」


そう言って旦那さんが開いてくれた、一番最後のページ。


そこに描かれていたのは、5年前に、駅で「バイバイ」をしたときのあたしだ。

広げた手をこちらに向けて、強ばった頬に涙を伝わせながら、

あたしは必死に笑っていた。


イヤだ。

あのときあたしが泣いてたの、ソラに知られていたんだ……。



「でも……ソラはあたしのこと……」

掌で涙を拭うあたしに、旦那さんがハンカチを貸してくれる。

「話はキラちゃんから聞いてるよね?」

「……少しだけ。詳しいことは旦那さんに会って聞け、って」

「そうか……。キラちゃんも言いづらかっただろうね」






──それから、旦那さんはあたしにいろんなことを教えてくれた。



心の準備はしてきたつもりだったのに。

その内容に、あたしの体から一気に血の気がひいていった。


そして、

旦那さんから聞かされるあまりにも切ない事実に、



あたしは涙を堪えることが出来なかった。