それからしばらくして。


「やばい! ランチに間に合わないじゃん!」

そう言って、運転席の彼と相変わらずの言い合いをしながら慌てて帰って行くキラの車を見送るときにはもう、あたしたちは笑顔だった。


次に会う約束はしなかったし、
携帯の番号だって教えて貰わないまま。

だけど、それでも、キラともう二度と会えないとは思えなかった。



それと。

あたしたちは、沢山泣いて、泣きながらお互いいろんなことを伝えたけれど、

2人とも、一度も「ごめんね」っていう言葉だけは口にしなかった。



だけどそれって、なんだかとってもあたしたちらしい……。



車が見えなくなるまで手を振り続けていると、あたしの視界は再び涙で滲んだ。


だけどそれは、哀しいんじゃない。

嬉しいんだ。




誰よりも純粋で真っ直ぐで。

誰にも屈しない、

そんな強いキラは今でもあたしの自慢の親友。



……ねえ、キラ。


今日言えなかった「ごめんね」っていう言葉は、


いつかまたあたしの部屋で、

コーラとスナックの代わりに、

カクテル……なんてお洒落な飲み物は似合わないから、そこは缶ビールとおつまみで。


乾杯しながら、

笑いながら、

2人で話せる日までとっておこう?



あたしたちは大丈夫。



いつかきっと、

また会える日が来るから──