ウソ★スキ

「だけどね。不思議なんだけど、その晩はぐっすり眠れたの。……なぜだか分からないけど、安心できたんだよね……。それからは、自分でも驚くんだけど、毎晩きちんと1人で眠れるようになったの」

彼の『俺を信じろ』って言葉に、キラはかなり安心できたみたいで。

キラはその様子を「まるで憑きものが落ちたみたいにスッキリした」と表現した。


「ねえ! あの時、ホントに薄情だったよね!」

キラが車に向かってそう言うと、

きっとあたしたちの会話が全部聞こえていたんだろう、車の中から

「アホか。いい年して誰かに添い寝してもらわないと眠れないなんて、一体どれだけ甘やかされて育ったんだ」

っていう、彼のボヤき声が返ってきた。


「何よそれ! 私は甘やかされたんじゃなくて、ただ、大事にされてたんだからね!」

キラが声を荒げて運転席に回り込み、上半身を乗り出して車内の彼を覗き込む。

「相変わらず、口が悪いんだから! ムカつくヤツ!」


だけど、怒っているようだけど、その口調にはどこか余裕があって。

キラはすごく楽しそうだった。


「それが甘いっていうんだよ。大体、姉弟で恋だの愛だの言ってるけどなぁ……」


その言葉に、ドキッとした。

この人、キラとソラの関係まで知ってるんだ……


「最初から何もかも分かり合えてる相手と恋だなんて、手抜きしようとすんじゃねぇ」

「……は?」