「波長が合うって言うのかなぁ。お互いいろんな身の上話をするようになったんだけど。彼女に美夕ちゃんのことを話したら、『そんなの負けず嫌いなだけじゃない、彼女の弱みにつけ込んで、彼女を縛り付けて。一体何様のつもりなの?』って怒られた」

「すごい。先輩にそんなこと言えるなんて……」

「うん。俺もそう思う。……だから、彼女の代わりは誰にも出来ないんだ」


先輩は眠そうにしながらも、ぽつりぽつりと彼女のことを教えてくれた。


彼女は地方出身で、

この春大学を卒業した後は、地元に帰って就職することが決まっていた。


一度はそんな彼女との遠距離恋愛を覚悟した先輩だったけれど、それでも、先輩は彼女をどうしても諦められなかった。


先輩を叱ってくれる心の強い彼女。

だけど本当は人一倍泣き虫で、傷つきやすい彼女。


そんな彼女に、これからもずっとそばにいて欲しくて。

そして、彼女のそばにいてあげたくて。


だから今夜彼女にプロポーズして、

来週末にはもう、2人揃ってあちらのご両親に挨拶に行くのだという。


「正式に結婚するまで遠距離になるのが寂しいって言ったら、『それくらい我慢しなさい!』って怒られたよ」


こんなにしっかり者の先輩なのに、彼女には怒られてばかりいるみたいだ。