ウソ★スキ

「ねえ、美夕ちゃん」

先輩が、あたしの頭を撫でながら耳元で囁いた。

「狡いかもしれないけど……俺は美夕ちゃんが好きだよ」


そして小さくゴメンね、ゴメンね、って何度も呟いたあと。


先輩は言った。


「だから、美夕ちゃんが心から笑えるようになるまで、もう少しだけ彼氏のフリ、してもいい?」


その言葉に、体中の力が奪われて。

あたしはもうこれ以上1人で立っていることが出来なかった。



何も言わないのが、先輩への返事────

あたしは、先輩の胸の中で、声を上げて泣いた。



そんなあたしたちのことを、今にも雲に隠れて消えてしまいそうな儚げな月だけが見ていた。