ウソ★スキ

ソラの姿なんて、見えるわけがないのに。

もう、何を言っても、ソラに届くはずないのに。


あたしはソラの名前を叫びながら、必死に電車を追いかけた。

「いやだ! ソラ! 待って!!」

だけど電車はあっという間に、レールの向こうに小さくなっていく。


ホームの一番端まで走ったところで、後を追いかけてきたんだろう、さっきの駅員に後ろから体を捕まれた。

「お客さん、危ない!」

それでもあたしはホームから身を乗り出して、電車が走り去った方向に向かって叫び続けた。



「ソラ!! 行かないで!!」



ソラの名前を叫ぶたびに、

体中に痛みが走った。


それはまるで刃物で体をずたずたに切り刻まれるような、激しい痛みだった。





「……イヤだぁ!」




悲しくもない。

苦しくもない。



ただ、


ただ、



痛かった。