乗客の乗降を終えて電車の扉が閉まったあとも、あたしはその場に立ち尽くしたままだった。
ソラに手を振ったその瞬間から、まるであたしの周りだけ時間が止まってしまったみたいで。
顔は、もう、キラに負けないくらい涙でぐちゃぐちゃだった。
電車がゆっくりと動き出すと、あたしは思わず背を向けた。
たとえ電車の中からでも、たとえほんの一瞬でも、ソラにこんな惨めな顔は見られたくなくて。
今ここであたしが泣いたら、ソラが困る──
そう自分に言い聞かせながら、あたしはただ、電車が通過するのをじっと待った。
だけど。
──ソラが、いなくなる。
次第にスピードを上げながら、あたしのすぐ後ろを走る電車。
それが作る風に煽られて、あたしの髪がふわっと宙に舞い上がった。
──ソラが、いなくなる。
電車が通り過ぎると舞い上がったあたしの髪も落ちて、涙で濡れた頬にはりついた。
あたしの時間は、そこでようやく動き始めた。
「待って!」
だけど、電車のほうに視線を向けてももう遅い。
振り返ると、電車はその後ろ姿をあたしに見せながら、ホームを離れようとしていて。
どんどん電車が遠くなる。
どんどんソラがあたしから離れていく──
ソラに手を振ったその瞬間から、まるであたしの周りだけ時間が止まってしまったみたいで。
顔は、もう、キラに負けないくらい涙でぐちゃぐちゃだった。
電車がゆっくりと動き出すと、あたしは思わず背を向けた。
たとえ電車の中からでも、たとえほんの一瞬でも、ソラにこんな惨めな顔は見られたくなくて。
今ここであたしが泣いたら、ソラが困る──
そう自分に言い聞かせながら、あたしはただ、電車が通過するのをじっと待った。
だけど。
──ソラが、いなくなる。
次第にスピードを上げながら、あたしのすぐ後ろを走る電車。
それが作る風に煽られて、あたしの髪がふわっと宙に舞い上がった。
──ソラが、いなくなる。
電車が通り過ぎると舞い上がったあたしの髪も落ちて、涙で濡れた頬にはりついた。
あたしの時間は、そこでようやく動き始めた。
「待って!」
だけど、電車のほうに視線を向けてももう遅い。
振り返ると、電車はその後ろ姿をあたしに見せながら、ホームを離れようとしていて。
どんどん電車が遠くなる。
どんどんソラがあたしから離れていく──


