ウソ★スキ

……ソラは狡い。



目が合ったソラは、今にも泣きそうな顔をしていた。


目に涙を浮かべて、
口を半開きにして、

唇は動いていなかったけれど、間違いなく、ソラはあたしに助けを求めていた。



そんな表情をするソラを見たのは、これが初めてだった。


笑った顔だけじゃない。

怒った顔も、
困った顔も、
寂しそうな顔だって。

今までソラのいろんな表情を見てきたけれど、

どんなときだってソラは、あたしよりも強くて。
しっかりしていて。



……こんな風にあたしの前で弱さをさらけ出したことなんて、一度もなかった。




それなのに。

こんなときに、狡いよ、ソラ……。








……だけど、あたしは決心するしかなかった。

今、ソラを助けてあげられるのは、あたししかいないから。



だから、仕方がなかったんだ。



あたしは、ソラをじっと見つめたまま、自分の手をゆっくりと胸の高さまで上げた。

そして、掌をソラに向けて5本の指を大きく開いて、

その手を胸の前で大きく左右に二度、三度と動かした。


……ソラはちゃんと見てくれたかな?


手を動かしながら、口を大きく開けて、


あたしは一度だけ、


「バ・イ・バ・イ」


って、そう呟いた。