駅前の待ち合わせ場所。

そこにはもうソラがいた。

腕を組んで、ビルの壁にもたれかかっていたソラは、あたしの姿を見つけると少し照れくさそうに「おいで」って手招きをしてくれた。


……昨夜会ったばかりなのに。

そんなはにかんだ笑顔を「懐かしい」とさえ感じながら、あたしはソラの元へ駆け寄った。


ソラは、あたしが重たそうに大きなカバンを持っていることで、これがただの見送りではないっていうことを理解してくれたみたいで。


「……本当にいいの?」

「うん。連れて行って」

「親には?」

「手紙、書いてきた」


手紙っていっても、内容はただ「ごめんなさい、また連絡します」の一言だけ。

だって、パパやママの顔を思い出すだけで泣きそうになって、他には何も書けなかった。


あたしたちはぽつりぽつりと話をしながら、駅構内にある券売機の短い列に並んだ。


「……ソラは? キラに話してきたの?」

「いや……声かけるとこを奥さんに気付かれたらマズいし、キラはこの時間いつも寝てるから、ドアの隙間に手紙を差し込んできたんだ」

「そう……」