あたしが泣いていたことに気づいているくせに、ママは何も聞こうとしなかった。
ううん。今だけじゃない。
ママは、キラとソラの噂を近所の人から聞いて知っているはずだ。
そして、あたしが最近泣いてばかりいるのはそれが原因だってことも薄々感付いていて。
……だけど、ママは今日まで一度もそのことについて触れようとはしなかった。
いつもうんざりするくらい、どんなことにだっていちいち口を挟んでくるくせに。
それなのに今は黙ったままで、もう部屋を出て行こうとしている。
机の上のおにぎりからは、見ただけで温かいって分かる、白くて柔らかな湯気があがっていた。
「ママ、もしかしてわざわざご飯炊いてくれたの?」
「そうよ! だから文句言わないで、残さず食べなさいよね。──それと」
ドアの前で一度振り返ると、ママは真面目な顔で言った。
「寝る前にちゃんと歯を磨くのよ」
「やだ、子供じゃないんだから」
あたしが泣きながら笑うと、ママは
「美夕はまだまだ子供よ」
って笑い返して。
そして、
「お腹いっぱいになったら寝なさい」って、そのまま部屋を後にした。
ううん。今だけじゃない。
ママは、キラとソラの噂を近所の人から聞いて知っているはずだ。
そして、あたしが最近泣いてばかりいるのはそれが原因だってことも薄々感付いていて。
……だけど、ママは今日まで一度もそのことについて触れようとはしなかった。
いつもうんざりするくらい、どんなことにだっていちいち口を挟んでくるくせに。
それなのに今は黙ったままで、もう部屋を出て行こうとしている。
机の上のおにぎりからは、見ただけで温かいって分かる、白くて柔らかな湯気があがっていた。
「ママ、もしかしてわざわざご飯炊いてくれたの?」
「そうよ! だから文句言わないで、残さず食べなさいよね。──それと」
ドアの前で一度振り返ると、ママは真面目な顔で言った。
「寝る前にちゃんと歯を磨くのよ」
「やだ、子供じゃないんだから」
あたしが泣きながら笑うと、ママは
「美夕はまだまだ子供よ」
って笑い返して。
そして、
「お腹いっぱいになったら寝なさい」って、そのまま部屋を後にした。


