ソラはあたしが落ち着くまで、黙ってそばにいてくれた。
そしてその後、言い出しにくそうに
「そろそろ戻らないと。管理人さんには『気分転換に本屋に行く』ってウソついて出てきたんだ」
って腕時計に目をやった。
……だけど、それっきり会話が続かない。
明日になればまた会えるのに。
それからはずっと、ずっと、一緒にいられるはずなのに。
それでもあたしは、一時でもソラと離れるのが辛かった。
「なんか、名残惜しいな」
そんな気持ちはソラも同じみたいで、あたしを優しく抱き寄せてくれる。
「俺、正直言うと、さっき美夕に会うまでずっと迷ってたんだ。俺は家にも学校にも未練はないから高校を辞めて働けばそれでいい。……でも、美夕にはちゃんとした親もいるし、今の高校を卒業したほうがいいに決まってて……」
あたしはソラの腕の中で、ソラの声を聞きながら、黙って目を閉じた。


