ウソ★スキ

言葉を失ったあたしを残して、先輩とソラの会話は淡々と続いた。


「キラちゃんの様子は?」

「相変わらず。下に用事があるとき以外は部屋から出てこない」

「ご飯は食べてるの?」

「俺は知らないけど、家政婦さんが言うには食べてるらしい。量は少ないみたいだけど」

「そうか……。でも、この分だと当分学校に出てくるのは無理そうだな。……っていうか、このまま転校させられるんじゃないか?」

「……かも知れない」


「転校!?」

その単語に、思わず大きな声を出してしまったあたし。

だけどソラは冷静で。

「まだ決まったわけじゃないから」

腕を組んで窓にもたれかかったまま、そう答えただけだった。


その時、あたしの足に視線を移したソラが膝のかすり傷に気づいて、

「膝、どうしたの?」

心配そうに聞いてくれる。

だけど……この状況では、さっきの出来事なんて話せるわけがない。

「体育の授業の時に転んだんだ……でも平気……」


あたしがなんとか誤魔化そうとすると、

「ソラ、お前のせいだよ」

横から、先輩がきつい口調でそう言った。


「美夕ちゃんは、お前たちのことで上級生に絡まれたんだ」