「あたしのことはいいから。それより掲示板を早くどうにかしたほうがいいよ。うちはもう、大騒ぎになってる……」

「マジで?」

「うん」

ソラの通ってる学校は共学の進学校。

だから、あたしとキラが通ってる女子校と違って、こんなことで大騒ぎしている暇なんてないのかも知れない。

だけど、早く手を打った方がいいことに変わりはない……


「美夕のメールが気になって『頭痛いから保健室行く』って授業抜け出したんだけど……このまま帰ったほうがよさそうだな。美夕は? これから授業?」

「うん、もうすぐ始まる」

「そうか。じゃあまた連絡する」


──美夕、いろいろゴメンな。

最後に改まってそう言うと、ソラは電話を切った。



頭上にある、校舎の外壁に取り付けられたスピーカーから、タイミング良く予鈴のチャイム音が聞こえてきた。

だけどあたしはそのまま校舎の壁にもたれかかった。


このまま授業、サボっちゃおう……。


……なんだか、疲れたな。

あたしは溜息を吐きながら、ゆっくりと目を閉じた。