ウソ★スキ

「そんなこと言われても……嘘っぽいよ」

だってあの時、ソラはものすごく冷静にあたしの告白を『無視』したのに。


「嘘じゃないよ。本当に、どう反応していいか分からなかったんだ」

「本当?」

「本当だって!」

なんだかムキになるソラがおかしくて。
あたしたちは薄明かりの中で目を見合わせて、苦笑いをした。


「それから俺は、美夕のことばかり考えるようになったんだ。あの時はまだ、自分の気持ちが恋かどうか分からなかったけど……。だけど、あの告白がウソだって聞かされた時、めちゃめちゃショックで、イライラしたのは確かだった」

「ごめん……」

「いや、いいんだ。それに、謝るのは俺の方だから」

ソラの表情が一転して硬くなる。

「……2回もあんな怖い思いさせて、ごめんな」

「ううん。……あたしだって、あんなこと言って……」


あたしの言ったこと──。

『同じ顔の相手を抱くって、どんな気分?』


──2人の事情を聞いた今、改めてその言葉を呟くと、それはあの時よりもいっそう罪深く聞こえた。

あたしってば、なんてひどいことを言っちゃったんだろう……。

新しく生まれた罪悪感に、あたしは息が出来なくなるほど胸を締め付けられた。


「ごめんね……あたしこそ、本当に、ごめんなさい」


あたしは、震える声で、何度も何度もソラに「ごめんなさい」を繰り返した。