ウソ★スキ

「この話、キラから聞いたことなかった?」

「うん、初耳……」


だって、あたしがキラから聞かされるソラの話は、いつだって幸せいっぱいだったから。



「女の名前を出しただけで、キラは明らかに顔つきが変わったんだ。そして『誰? どこの子? 一体どういう関係なの!?』って俺に答えを迫って……」


ソラに迫るキラ。

きっと、キラは不安で仕方なかったんだ。
ソラを他の女の子に奪われるんじゃないかって──。


「その時のキラの様子は普通じゃなかった。相手の女に何かするんじゃないかって怖くなるほどで。……だから、女とは出来るだけ距離を置くようにしてきたんだ」


よかったな、美夕は。

ソラはそう言うと、あたしの頭をぽんと軽く叩いた。


「キラの反応が怖くて自分の気持ちにブレーキをかけていたけど、俺、美夕のことは結構前から気にしてたんだ」

「嘘……」

「ホントだよ。だけど当時の俺はまだ、キラ以外の女と付き合うなんて考えられなくて。ホントに「いい子だな」って思うくらいだった。……それが、なぁ」


ソラの温かい手が、あたしの頭の上で止まる。



「バスで──あれはキラとの作戦だったらしいけど──告白されたときには驚いたよ。正直言うとかなり戸惑ったけど、でも嬉しかった……」