ウソ★スキ

「それから俺たちは、ヨリねーちゃんの前で『いい子』を演じ始めたんだ」


2人は頼子さんに買い物に誘われても、
友達に外で遊ぼうと呼ばれても、

決して外へ出ようとしなかった。

「宿題をしないといけないから」

そう言って、家に帰ると真っ先に宿題を済ませて、

話もせずに晩ご飯を大急ぎで食べて、

食後にテレビを見ながらくつろぐこともせず、真冬以外はお風呂もシャワーで済ませて。



そして、自分の部屋で『寝たふり』をすることを覚えた……。



「ねーちゃんも、俺たちのことなんか気にしないで帰ってくれれば良かったんだけど、真面目に親との約束を守ってくれてさぁ……」


生真面目で、優しい人。

それが本来の頼子さんなんだろう。



「俺たち、ねーちゃんにはそれなりに大事にしてもらったんだ。……晩飯だって、毎日手作りの美味しいものを食わせてもらってたし」



「ヨリねーちゃんの料理、たまにうちの親が作る手抜き料理の何十倍もうまかったな……」

そう言うソラは、どこか無理して笑っているような気がした──。