コップはキラの頬の高さをかすめ、冷蔵庫に当たって大きな音とともに砕け散った。
そして、頼子さんは驚いて逃げようとしたキラを追いかけながら、
「あんたたちのせいで、私は自由になれないのよ!」
って大きな声で泣き叫んだ──。
頼子さんに肩をつかまれて、キラは恐怖のあまり動くことが出来なかった。
頼子さんから目をそらすことも出来ずに、ただ真っ白な顔をして、泣きそうな顔をして、頼子さんに体を揺さぶられていた。
苦しそうに話し続けるソラの声が、どんどん弱く、小さくなっていく。
「そのとき、俺、キラを助けてやれなかったんだ。……ヨリねーちゃんはキラを追いかけるときにコップの破片を踏んづけて足の裏を切っていて、その血の跡がキッチンからリビングまでずっと続いていて……」
──繋いでいるソラの手が、どんどん汗ばんでくる。
「俺はテレビの前に座ったまま、その血をじっと見つめていた。ねーちゃんの罵声と、キラの悲鳴を聞きながら──」
あたしは、何も言えなかった。
ただ、ソラの手をぎゅっと握ってあげるしかできなかった。
それに気づいたソラは、弱々しく「ありがと」と言うと、あたしの手を握り返してくれた。
そして、頼子さんは驚いて逃げようとしたキラを追いかけながら、
「あんたたちのせいで、私は自由になれないのよ!」
って大きな声で泣き叫んだ──。
頼子さんに肩をつかまれて、キラは恐怖のあまり動くことが出来なかった。
頼子さんから目をそらすことも出来ずに、ただ真っ白な顔をして、泣きそうな顔をして、頼子さんに体を揺さぶられていた。
苦しそうに話し続けるソラの声が、どんどん弱く、小さくなっていく。
「そのとき、俺、キラを助けてやれなかったんだ。……ヨリねーちゃんはキラを追いかけるときにコップの破片を踏んづけて足の裏を切っていて、その血の跡がキッチンからリビングまでずっと続いていて……」
──繋いでいるソラの手が、どんどん汗ばんでくる。
「俺はテレビの前に座ったまま、その血をじっと見つめていた。ねーちゃんの罵声と、キラの悲鳴を聞きながら──」
あたしは、何も言えなかった。
ただ、ソラの手をぎゅっと握ってあげるしかできなかった。
それに気づいたソラは、弱々しく「ありがと」と言うと、あたしの手を握り返してくれた。


