ウソ★スキ

「たしかに俺たちはその日テレビに夢中になっていて、ねーちゃんに何度も『早く風呂に入れ』って言われたのに、ちっとも言うことを聞かなかった」


頼子さんは、何時間も、じっとキッチンに座っていた。


だけど、そんな我慢にも限界が訪れる。


──ドンッ!!

頼子さんは、無言で、手に持っていたコップをダイニングテーブルに叩きつけた。


そして、その音に反応したキラが、慌てて頼子さんの機嫌をとろうとした。


手元にあった教科書を片手に「ヨリねーちゃん、宿題教えて!」って、頼子さんの元へ駆け寄っていった。



──その時。



「ヨリねーちゃんは、近寄ってくるキラに向かって、持っていたコップを投げつけたんだ。そして泣きながら、ものすごい恐ろしい顔をして“子供はさっさと寝なさい!”って──」



その時のことを思い出したのか、ソラの声は今にも消えてしまいそうだった。