ウソ★スキ

頭上で鳴ったパキッという音に、あたしの背筋がピンと伸びる。

それは、ソラが目の前に伸びる枝を片手で折った音だった。


ソラはその枝を無造作に足元に投げ捨てると、話を続けた。


「昼間は、昔と変わらない優しいヨリねーちゃんのままなんだ。……だけど、日が暮れると、ヨリねーちゃんはイライラし始めるんだ」

「……」

「椅子に座って、壁の時計をじっと見つめて。キラが構って欲しくてねーちゃんにいろいろ話しかけるんだけど、ねーちゃんはいつも上の空で」



そのうち、頼子さんは2人と一緒に晩ごはんを食べなくなった。

2人がご飯を食べている間に、お鍋を洗って、

食事をする2人の目の前に立って、空になったお皿を次々にキッチンに下げて、洗い物を済ませて……。


いつしかキラは、毎日1人でお風呂に入るようになった──。