ウソ★スキ

「……どこに行くつもりなの?」

「分からない……。ただ、どこか、誰もいないところに逃げたくて……」

ソラもあたしも、息を切らしていた。

せっかくお風呂に入ったのに、あたしのパジャマは汗と泥で汚れてしまっていて。


静かな夜の車道に聞こえてくるのは、

あたしたちが肩で息をする音と、

ガードレールの下を流れる川の音だけ──。



「いっぱい走らせて、ごめんな」

「ううん、大丈夫」

ソラがあたしの足元に目をやった。

「足、痛かっただろ?」

「痛いけど……それはソラも一緒でしょ?」

あたしが笑いながら2人のボロボロになったスリッパを指差すと、ソラは悲しそうな顔をした。

「美夕……もう、作り笑いはやめて?」

そう言って、そっとあたしの頬にその手を伸ばす。

「最近、美夕は笑わなくなったよな」

「……そうかな?」

「うん。……美夕の笑った顔、好きだったんだけど。……でも、その笑顔を奪ったのは誰でもない、俺なんだよな……」


「そんなことないよ!」