足元を照らすのは月明りだけ。
そんな暗い山道を、何も言わずに、まるで何かから逃げるように。
あたしたちは必死に走り続けた。
室内用のスリッパで飛び出したものだから、硬くゴツゴツした石を踏ん付けるとその硬さがダイレクトに足の裏にかかってくる。
そのたびにあたしは小さな悲鳴を上げたけれど、ソラはそのことに気付かずに、あたしの手を引いて走り続けた。
しばらく走ると目の前が開けて、昼間、4人で歩いた車道に出る。
ソラとあたしはいったんその足を止めると、左右に伸びる道路を見渡した。
車の往来が途絶えた車道には、右方にぽつんと1台のタクシーが止まっていた。
真っ暗な闇の中で、お客さんを待っているのか降ろしているのか、ハザードランプをチカチカ点滅させて止まっている。
「美夕、こっちだ!」
ソラはそのタクシーの姿を見つけると、慌てて逆方向へ向かい再び走り出そうとした。
だけど、あたしはそんなソラの機敏な動きについていけなくて。
「待って、もう無理!」
繋いでいた手が離れたところで、ようやく、ソラは足を止めてくれた。
そんな暗い山道を、何も言わずに、まるで何かから逃げるように。
あたしたちは必死に走り続けた。
室内用のスリッパで飛び出したものだから、硬くゴツゴツした石を踏ん付けるとその硬さがダイレクトに足の裏にかかってくる。
そのたびにあたしは小さな悲鳴を上げたけれど、ソラはそのことに気付かずに、あたしの手を引いて走り続けた。
しばらく走ると目の前が開けて、昼間、4人で歩いた車道に出る。
ソラとあたしはいったんその足を止めると、左右に伸びる道路を見渡した。
車の往来が途絶えた車道には、右方にぽつんと1台のタクシーが止まっていた。
真っ暗な闇の中で、お客さんを待っているのか降ろしているのか、ハザードランプをチカチカ点滅させて止まっている。
「美夕、こっちだ!」
ソラはそのタクシーの姿を見つけると、慌てて逆方向へ向かい再び走り出そうとした。
だけど、あたしはそんなソラの機敏な動きについていけなくて。
「待って、もう無理!」
繋いでいた手が離れたところで、ようやく、ソラは足を止めてくれた。


