ウソ★スキ

「ソラ……?」

突然のことで、何がなんだか分からないあたしに、



「イヤだ」


ソラはそう呟くと、あたしを強く抱きしめた。





「先輩のとこなんか……行くなっ!」





振り絞るような、唸るようなその声は、

とても小さかったけれど、とても力強くて……


そんなソラの言葉は、耳からではなく、密着した身体を伝ってあたしの心に直接響いてきた。



「行くな」

ソラは、何度も何度も、そう繰り返した。

あたしも、そのたびに、泣きながら「うん」って答えて。




そしてあたしたちは、靴も履かずにペンションを飛び出した。