ウソ★スキ

リビングを出たその足は重かった。

まるで鉛を引きずっているようで、
後ろからものすごく大きな力で引っ張られているようで……。


だけどあたしはそれに負けないように、階段の手すりをぎゅっと掴んで、重くなった自分の身体を階段へ引き寄せた。


見上げると、まっすぐに伸びた階段のその先に、キラとソラの部屋のドアが見える。


……なによ。
ソラだって、キラのいる部屋に戻るくせに……。

そう思うと、胸がぎゅっと締め付けられた。


あたし、それでいいの?
本当に、それでいいの?


ぎゅっと歯を食いしばると、目の前の階段が涙で見えなくなっていく。




──ダメだ。


あたし、あんな偉そうなことを言っておきながら、さっきからずっと背中にソラを感じている。

ソラと離れた途端、

先輩じゃない、
キラでもない、

気がつけばあたしの頭の中には、ソラしかいなくなっていて。



……あたし、やっぱりダメだ!



階段を上りかけた片足を再び床につけると、あたしはリビングへ戻ろうと後ろを振り返った。



だけど、

振り返ったあたしのすぐ眼の前にはソラがいて。




そして次の瞬間、

あたしはソラに抱きしめられていた。