ウソ★スキ

「……仕方ないじゃん、一晩中ここにいるわけにいかないんだから」


ソラの言葉に一度は止まってしまったけれど。

あたしはまた、ゆっくり一歩、足を前に踏み出した。


「これ以上は無理だよ。いろんな人を傷つけるんだもん。ソラだって、それが分かってるから、あの時トイレから1人で出て行ったんでしょ?」


そうだ。
これでいいんだ。


そう、自分に言い聞かせた。



「だからあたし、もう行くね」



リビングのドアに手をかけたまましばらく待ってみたけれど、ソラからの返事はなくて。


「おやすみ、また明日ね」




まるで別れの言葉みたいだ……。

あたしはそんな言葉をソラに残して、リビングを後にした。