あたしは唇をぎゅっとかみ締めた。
部屋になんて、戻りたくない。
本当は今すぐ振り返って「ソラが好き」って言いたい。
そしてこのままずっと、ソラのそばにいたい。
だけど──
あたしの脳裏に、先輩の笑顔がよぎる。
こんなあたしでも好きだって言ってくれる、甘い声が聞こえてくる。
……それだけじゃない。
キラの狂気じみた瞳。
喉元に当てられたナイフの鋭い光。
笑いながら言う、「死んじゃうよ」って言葉。
それらがさっきからずっと走馬灯のように頭の中をグルグル回り続けて、
あたしをがんじがらめにするんだ──。
だめだ。
あたしの「スキ」は、あまりにも人を傷つけすぎる。
あたしは、ソラのことも先輩のことも、好きでいる資格なんてないんだ──。


