2階への階段は玄関の真正面、リビングの外にあった。

あたしがキッチンから動けずにいる間に、キラはソラをつれてそのまま2階の部屋へと上がっていく。


「ねえ、先輩とどんな話をしたのー?」

階段から聞こえてくるキラの声は、怖くなるくらい「普通」だった。



2人分のトントントン、っていう軽やかな足音はあっという間に小さくなって。

続いて、2人の部屋のドアが閉まる音──。




「──美夕ちゃん? どうしたの?」

はっと我に返ると、あたしの目の前には先輩がいた。


「片付けご苦労様。かなり疲れてるみたいだね?」

先輩は、少し腰をかがめてあたしの目線に合わせて、そう言ってくれた。


「……先輩」

「……美夕ちゃん、もしかして泣いてた?」