「……いいですよ」

だけど、ソラはあっさりそう答えると、先輩と一緒にリビングを出て行ってしまった。

あたしたちに「出てくる」とだけ言い残して──。




──残されたのは、あたしとキラ。

キッチンには、しばらく、水の音だけが鳴り響いた。



あたしが渡すお皿を、キラが受け取って食洗機に並べていく。



「……ねえ、キラ」

その沈黙を破るように、1回目にあたしがそう言ったときは、

水の音が大きくてあたしの声が届かなかったみたいで、キラは何も返事をしてくれなかった。




何から話せばいいんだろう?

今夜の部屋割りのこと、
昨日の電話のこと、
あたしの正直な気持ち、
そして、キラの本音──

話さないといけないことが沢山ありすぎて、何から話せばいいか分からない。


だけど、とにかく話を始めないと──。

あたしはお皿を渡す手を止めると、もう一度、ゆっくりとキラに話しかけた。



「キラ、聞いて。きちんと話をしよう?」