「……冷めないうちに、食べようか」

夫婦を乗せた車のライトがすっかり消えてしまうのを見届けた後、そう切り出したのはソラだった。


豪華な食事が並んだ大きなテーブルを囲むと、誰が言ったわけでもないのに、キラとソラ、あたしと先輩が隣同士に座る。

ペンションのお酒は奥さんが全部持って帰ってしまったので、乾杯はミネラルウォーターだった。

「もう、奥さんってばいつまでも私達を子ども扱いするんだから!」

「優しくて、素敵な管理人さんだよね」

あたしの言葉に、キラも笑顔を返してくれた。


奥さんの作ってくれた美味しい料理を食べながら、あたしたちはいろんな話をした。

管理人夫婦のエピソード、

さっきソラと先輩が旦那さんに教えてもらった滝の場所、

今夜お風呂に入る順番、

明日の予定……


会話がなくなると先輩がテレビをつけた。

チャンネルをあちこち変えて、その中から一番賑やかなバラエティ番組を選ぶ。

それを見ながら、あたしたちは不自然なくらい、声を出して笑った。