まだ、先輩のもとへ辿り着くまで何メートルも距離があった。

だけど、先輩は歩き始めたあたしの気配にすぐに気がついて。

あたしの姿を見つけるなり手にしていた民芸品を商品棚に戻すと、早足であたしの元に駆け寄ってきた。


「美夕ちゃん、顔が真っ青だよ!? ……もしかして、具合悪いの?」


ホントに心配そうに、あたしの顔を覗き込む先輩。

あたしはそんな先輩の目をまっすぐに見ることができなくて、黙って俯いた。


「もうすぐバスの時間だけど、一便遅らせてもらおうか?」

そう言うと、先輩はお店の出口へ目を向けた。

「ソラとキラちゃんに連絡取ってみるから、ここで待ってて? いや……とりあえず座る場所を探そうか……」


先輩はズボンのポケットから携帯を取り出すと、

「あの2人、今どこにいるんだろう?」

って呟いた。