だけど、ソラの返事はなかった。

気付けばまた無表情に戻ってしまったソラは、目線だけを先輩に向けると、ただぶっきらぼうに

「どっちでも」

と答えただけで。


しばらく沈黙が続いた後、聞こえてきたのはキラの大きなため息。

あたしは、またさっきの電車のような気まずい空気が流れるのがイヤで、そのため息をかき消すように叫んだ。

「あたし、別行動したい!」


──それは、決してウソではなかった。


不機嫌なソラにビクビクしたり、

なにか隠し事をしてるんじゃないかって、キラの様子を伺ったり。


そんな息詰まる思いをしながらバスを待つのはまっぴらで。



あたしは2人の前から逃げ出したくて、

「先輩、行こう!」

そう言って、先輩の手を取った。