ウソ★スキ

ソラの眉間に、軽くしわが寄る。



「いつ頃のこと?」

「……夜の12時過ぎ」

「間違いなく俺からだった?」

「……うん……」



この時、もしもソラが笑って

『ごめん、あれはボタン押し間違えただけなんだ!』

って言ってくれていたら。



あたしはそれが嘘だと分かっていても、無理矢理自分を納得させることができたと思う。



あのとき、確かに電話口からソラの息づかいが聞こえてきたけれど、

それだって聞こえなかったことにして、

『そうだったんだ、これからは気をつけてね』

って、笑えたと思う。



そして、そんな電話があったことも忘れて、この旅行を楽しめたのに……。



だけど、ソラはきょとんとした顔をして、あたしにこう言ったんだ。



「俺、その時間は風呂に入ってたし、昨日は誰にも電話なんてしてないけど?」