最後にソラと話をしたのは、いつだっただろう?
さっきのように、キラや先輩がいる前で、当たり障りのない会話をすることはあったけれど……
でも、こんな風に向き合って2人きりで話をするなんて、本当に久しぶりだ。
──そう。
あたしが覚えている限りでは、雨の日にバスの終点から家まで歩いた、あの時が最後。
最後の言葉は何だったっけ?
そうだ、確か
『俺はもう、キラの前で、美夕と友達のフリなんて出来ないんだ』
って……。
あたしはもう一度、キラの寝顔に視線を移した。
……キラは、ソラの足が動いたことにも気付かず、よく眠っている。
お願い、キラ。少しだけ目を覚まさないでいて……。
あたしはもう一度ソラの目を見て、口を開いた。
「ずっと寝たふりしてたの?」
あたしがそう尋ねると、ソラは黙ったまま、その口角を軽く引き上げた。
そして、どこか遠くを見つめていたその視線を、ゆっくりとあたしに向けた。
「……この状況で、眠れると思う?」
その声は、
怒っているようで、
あたしのことを突き放しているようで……
「無理だろ」
そう言って、ソラは笑う。
そんなソラのことを、何故か温かいと感じてしまったのは、
きっと、
さっきからずっと触れ合っている、この足のせいだろう……。


