それからしばらく、あたしたちの会話は続いた。


当たり障りのない話題を無理やり広げ、盛り上げて。


それはそれぞれの学校の話だったり、

これから向かうペンションがある避暑地の観光名所についてだったり。


主に話をするのはキラと先輩だった。

ソラは、さっきまでの無愛想な態度とは違って、あたしたちのほうに体を開いて話の輪に加わっていた。

そして、2人ほどではないけれど、会話の合間に相槌を打ったり口を挟んだりして。

先輩やキラにはもちろん、あたしと目が合っても穏やかな笑顔を見せてくれた。



そして、あたしは。

先輩が持ってきた旅行情報誌を落ちつきなくパラパラめくりながら、そんな3人の話を黙って聞いていた。


だけど、雑誌の内容なんて全然頭に入って来ない。

なんだか頭がボーっとしたままだった。


だからあたしは、いつの間にか3人の会話が止まっていたことに気付かなかった……。