「2人で行ってきたら?」

そう言ったのは、とっても穏やかな表情をしたソラだった。

ソラの言葉に続けて、キラも、あたしたちをからかうように言う。

「そうだね。先輩、美夕を独り占めしてゴメンなさい! 寂しかったでしょ?」

「そりゃそうだよ。こんなとこに男2人で座っててもね……」

先輩はキラにそう言うと、視線を立ったままのあたしに移した。

そして、

「美夕ちゃん、ずっと立ってて疲れない?……ちょっと座って休んでから行こうか?」

って手を伸ばすと、あたしの手をぐいっと自分のほうに引き寄せて、隣にあたしを座らせた。


されるがまま、先輩の横にすとんと腰をおろすと、目の前のソラと目が合う。

その瞬間、一気に体中の血液が頭に上って、あたしは慌てて下を向いた。


……なんか、イヤだ。


「わぁ、先輩優しいー! ソラも、先輩のこういうさりげない優しさを見習ってよね!」

「……俺はそんな人間できてないから」

「もう、そういう考え方がダメなのよー」


目の前では、キラとソラの会話が続いていた。


「まだ『おかえり』って、言ってなかったね」


そんな囁き声に顔を上げると、そこにはあたしを見つめる先輩の笑顔。


だけどあたしは、そんな先輩に不器用な作り笑いを返すのが精一杯だった。