それからしばらく、あたしたちは揺れるデッキでいろんな話をした。

これから向かうペンションのこと、

見た目は悪役俳優にそっくりなんだけど、話すと優しい管理人さんのこと、

その奥さんの料理がとてもおいしいこと。


そして、今日の部屋の間取り。


「安心してね。お互い気にしなくていいように、端と端の部屋を準備してもらってるから」

建物の2階には、客室が4室あるらしい。

「1階に共有のトイレとお風呂があるけど、部屋の中にもユニットバスがあるから、好きに使って!」

「……そんなこと言われても、先輩が近くにいるって考えたら恥ずかしくて、トイレもバスも落ち着いて使えないでしょ」


「やだー、美夕ってば」

キラはあたしの耳元で囁いた。

「そんな可愛いこと言えるの、今だけだよー。夜になったらずーーーっと一緒にいたくなるんだから!」



……夜、か。




あたしは……

なんだか乗り物酔いしちゃったのかな?

気分が優れなくて、


キラみたいに楽しく笑えないや……。