聞かれてもいないのに、あたしったら何を言ってるんだろう。


それにしても今の言葉、なんだか言い訳っぽい……。

自分で言っておきながら、そんな自分がつくづくイヤになる。


……っていうか、あたしって、
ソラを無視してバスに乗らなかったことを、実は内心気にしていたんだ。

とっさにでた自分の言葉で、今、やっとそれを自覚したよ……。



「話なら、明日聞くから! もう切るよ?」

「…………」

「もう、いい加減にしてよ……ホントに切っちゃうからね?」

「…………」

「なによ、『うん』のヒトコトも言えないわけ?」

「…………」



悔しい。

腹が立つ。


だけど、電話を切っちゃえばいいのに、

このまま待っていたらソラの声が聞けるような気がして。

少しだけ、ソラの声が聞きたくて。



偉そうに、威勢良くタンカを切ったわりに、

あたしはなかなか電話を終わらせることができなかった。




そして、その電話は、

そのあとしばらく沈黙が続いたあと、

一言も会話のキャッチボールをすることなく、

突然終わってしまった。



…………電話を切ったのは、ソラのほうだった。