そんな沈黙をやぶったのは、無言のプレッシャーに負けたあたし。


「ソラ、何か言ってよ!」


明日は朝早いんだから。

それでなくても緊張して、今夜眠れるか分からないって言うのに、これ以上目が覚めるようなことをするのはやめて欲しい。

明日になれば、イヤでも顔を合わせるんだし、話ならそのときすればいいのに。


……って、別にイヤっていうわけじゃないんだけど……。


「用事がないんだったら、切ってよ! こんな夜遅くにこんなイタズラ電話みたいなことされても、迷惑なんだからね!」


だけど、携帯のスピーカーから聞こえてくるのは相変わらず、微かな息遣いだけで。

それだって、あたしがどんなに声を荒げても、全然反応がなくて。


そんなソラの態度に、あたしだけが、ボルテージをどんどんどんどん上げていって。


「なによ……この前バスで無視したことを怒ってるの?」

「……」

「仕方ないじゃん、先輩が迎えに来てくれることになったんだから!」

「……」

「それに、いつも私の顔もろくに見てくれないし無愛想なくせに、あんなときだけ『おいで』なんて言われても、素直にいけるわけないでしょ!?」

……もう、自分で何を言ってるんだか、訳がわからなかった。