キスの後、あたしは恥ずかしすぎて、先輩の顔をまともに見ることができなかった。


だって……

だって……

先輩の言葉はあまりにも嬉しくて、ドキドキして。

まるで夢を見ているみたいで。



先輩は、そんなあたしをみて、クスッと笑った。


「どう? 安心してくれた?」


なんだか胸がいっぱいで、「はい」って言ったつもりだったのに、それはうまく言葉にならなくて。

あたしは、ただ、大きくひとつ頷いた。



「じゃあ、名残惜しいけど今日は帰るね。続きは……旅行の時にでも、ゆっくり話そう?」


そう言うと、先輩は帰って行った。


そしてあたしは。

原チャリのエンジンの音がすっかり聞こえなくなるまで、

ううん。

それからもずっと、ずっと。長い間。


先輩の言葉にドキドキしすぎて、その場から動くことができなかった。