だからあたしは、今朝、

いつものようにキラの目を盗んでソラの様子を伺うことをしなかった。

「もしかしたらソラと目が合うんじゃないか」って、心のどこかで期待するようなこともなかった。



ソラは、そんなあたしの変化にどこまで気付いているんだろう……?



……どうでもいいけど、ね。



バスに乗っても、キラの興奮は冷めない。

いつものようにドア近くに立つあたしの手を引っ張って通路へ呼び寄せると、

「来週だったら、美夕も元気になってるよね! 来週行かない!?」

って話を続ける。

「うん……先輩に聞いてみる」


あたしは並んで立つキラとソラの顔をしっかりと見つめながら言った。


「せっかくだし、今週末、2人で仲良く行って来たら? あたしたちはまた今度、連れて行ってもらうから」


自分でも笑っちゃうくらい自然に、そんな言葉が口から出た。