「え、泊まりなの?」

先輩は、あたしが原チャリの後ろに座るのを助けてくれながら、そう聞き返してきた。

「はい……」


そして先輩は、それっきり黙り込んでしまった。


……いきなり泊まりの旅行に誘ったりして、先輩、引いちゃったかな。


あたしは、先輩の背中で体を小さくして、先輩からの返事を待った。


先輩の反応、怖いな……。


「場所は、どこ?」

「まだ詳しいことは聞いてないんですけど……多分、キラたちの親がペンションを持ってるから、そこだと思います。お店の社員さんの保養施設も兼ねてるらしくて、かなり広いみたいですよ」


私は、一度もそのペンションに行ったことがない。

だけど、キラとソラが2人で何度も泊まりに行っていることは、キラから聞かされて知っていた。


「美夕に彼氏ができたら、みんなで行こうね!」


キラは無邪気に笑って、よくそんなことを言ってた……。