ソラとギクシャクしている一方、

あたしと先輩は、うまくいっていた。


先輩は毎日あたしを正門前まで迎えに来てくれて、

あたしたちは先輩の原チャリで家の前まで帰って、

家の前の公園で話をする。

……そんな、かわいい交際を続けていた。


あれ以来、先輩があたしに手を出すことはなかった。

もちろん、帰り間際に軽いキスをしてくれることはあるし、

「また明日ね」って、優しくハグしてくれることも多い。


だけど、それ以上のことは一度もなかった。


あたしは、すごく大事にしてもらっていた。


だから、そんな先輩と一緒にいることが本当に幸せで。

気づきもしなかったんだ。


いつの間にか、

あたしの腰の傷……

あんなに痛い思いをして刻んだ『ソラ』って言う文字が


すっかり消えてしまっていたことに……。