その言葉に、ソラの表情が一転した。

それは、あたしを軽蔑するような、嫌悪するような顔。



「なにそれ。本気で言ってんの?」

「……そうだよ」



あたしの返事を聞いた途端、

ソラはものすごい勢いであたしから離れ、立ち上がった。



「お前、俺たちのこと、そんな風に思ってたのか?」


あたしは何も答えなかった。

多分、ソラにはあたしの涙は見えていない。


「なんだよ……俺たちのこと理解してるふりして……。内心じゃ、俺たちのこと、姉弟のくせに気持ち悪いとか、面白がってたわけ?」


「……ノーコメント」


あたしは声を振り絞って、それだけ言った。



「……だったら、俺のことスキなんていうのも、ウソだよな……」



ソラはそのままベッドにあがった。


そしてあたしに、

「もういいよ。出てけ」

と言い放つ。


それは、感情が全くない、冷たい一言だった。




あたしは、ゆっくりと体を起こした。

「……あたし、書斎にいるね」


当然返事なんて無い。


あたしは、こっちに背中を向けて横になっているソラの姿をちらっと見ただけで、


黙って、ソラの部屋を後にした。