「もう……したのか?」

それは、あまりにも小さな声だった。

「え?」

「もう、先輩と、しちゃったのか?」



ソラはそう言いながら、あたしのシャツのボタンに手をかけようとした。


「イヤッ!」

あたしは両手でそれを拒んだけれど、ソラの手は止まらない。



「先輩はソラと違うんだから! あたしが嫌がることは絶対しない、大事にしてくれるんだから!」


ソラはそんなあたしの叫び声を聞いているのか聞いていないのか、

あたしの手に邪魔されながら、

無表情であたしのボタンを外していく。



……いけない。

これ以上、ソラにこんなことさせちゃいけない。



こんな悲しい顔をしたソラに、抱かれたくなんてない。





あたしは目をぎゅっとつぶって、呟いた。





「ねぇ、ソラ。聞いていい?」