頂上から、町の景色を眺める。 今、全身の鳥肌が立った。 雪が積もった町。 真っ白な世界が目の前に広がる。 「綺麗……」 思わず呟いてしまった。 「だろ?来てよかった」 朝陽兄ちゃんは嬉しそうだ。 「本当。綺麗だね」 海兄ちゃんも景色に釘付け。 いつもより穏やかな顔をして、景色を見ている。 「朝陽、よくこんな場所知ってたわね」 お母さんは景色から目を離さず、朝陽兄ちゃんに話しかける。 「あぁ…まぁね……」 朝陽兄ちゃんは語尾を濁した。 ――なにかあるのかな?