…なんで、あいつのことばっかなんだ?俺は…

「隆幸君」

「…鷹沫さん」

後ろに、鷹沫さんが立っていた。
この人は、俺が来て邪魔じゃないのか?
「美咲様は、どうやら君を好かれたみたいだ」

好かれた?
マジかよ…
だから、俺を執事に?
だけど、俺より鷹沫さんのほうがカッコイイじゃねぇか。

「浮かない顔をしてますね」

「俺、邪魔じゃないんですか?」

「いいえ?」

鷹沫さんは、ニッコリと笑った。
俺は、この人みたいな執事になれるだろうか?
なれたら…もう一度、美姫んとこに。
…って、どんだけ俺は美姫、美姫言ってんだ。

「美姫様に未練でも?」

「…いいえ」

未練…か。あるな。俺は、美姫の執事。なのにいきなり、新たな執事。
あー…頭こんがらがってきたな。
ははっ。

「さぁ、明日も早いですよ」

「あ、そうですね。では…」

会釈をして、俺は自分の部屋に。

―パタン―

「…早めに処理しなければ、美咲様の幸せは…」